高槻市長 奥本 務 殿
2010年12月17日
日本共産党高槻市会議員団
団 長   中村 れい子

2011年度高槻市当初予算と施策に対する要望書


 多くの国民に期待を持たせた鳩山内閣は、僅か8ヶ月で退陣に追い込まれ、新たに誕生した菅内閣も、国民の期待を裏切り、雇用不安、貧困問題はさらに深刻になっています。また、医療や介護、子育てなど、社会保障制度を民間任せにし「公的責任の福祉」から「サービス産業」に変質させ、政府が責任を果たさず、地域主権の名で、地方自治体に押し付けようともしています。
さらに、日本農業を破壊する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の協議開始を表明しています。
 このままでは、社会保障も日本農業も破壊され、高槻市民も多大な被害を受けることになります。暮らし、福祉、食料を守る政治が求められます。国の政治から、市民の生活を守るために、地方自治体の果たす役割は大きくなっています。
 高槻市では、国が地域主権と言いながら、地方の権限(財源)を縮小している下でも、今年度は、がん検診の受診料の引き下げ、休日保育や病後時保育の実施、農林業活性化条例の制定などに努力されてきました。これからも、住民のくらし応援のための施策実現に、努力されるよう要望します。

 くらしを応援し、福祉を充実させ、中小業者の営業を守り、産業振興を図る立場から、日本共産党高槻市会議員団と高槻・島本地区委員会は、高槻市の
2011年度予算編成と市政運営にあたり、7つの柱14項目の重点要望とともに123項目の市民要望を実現されるように強く求めるものです。

重 点 要 望

1.くらしや福祉の充実を図ること
 ・国民健康保険料の減免制度を充実すること。
 ・国民健康保険の一部負担金減免制度を拡充すること。

2.子育て支援や教育の充実、子どもの安全対策を強めること
 ・学校警備員の配置を継続すること。 
 ・学校施設の設備改善を図ること。
  特に、エレベーター設置への予算化をすること。
 ・こども医療費助成(通院)の対象を小学校卒業まで計画的に拡大すること。

3.環境保全を重視し、住み続けられるまりづくりを
 ・地域や公共施設でのバリアフリーを促進させること。
 ・前島クリーンセンターの新炉建設・運営は直営で行うこと。
 
4.産業振興と雇用の確保について
・若年層の雇用の確保を事業所に働きかけること。

5.住民犠牲の「行革」をやめること。
 ・官製ワーキングプアをなくす努力をすること。非常勤職員の5年の有期雇  用をやめること。

6.自然や歴史・遺跡を生かしたまちづくりを

7.国や大阪府に要望すること。
 〈国に対して〉
・国民健康保険の広域化は行わないこと
・介護保険での軽度者切り捨ての見直しは行わないこと
 ・70歳から74歳の医療費は1割負担を継続すること。
 〈大阪府に対して〉
・学校安全対策交付金(学校警備員補助)を廃止しないこと。
 ・救命救急センターの統廃合や補助削減をやめること。

1.福祉優先都市への着実な転換を

医療などについて
○若年健診の受診を促すために、個別通知をするなど特別の対策を講じること。
○国の子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金事業を利用し、子宮頸がんワクチン、Hibワクチン(肺炎球菌ワクチン)接種を無料で実施すること。
○保健所の保健師、栄養士、心理判定員、食品衛生監視員など専門職を十二分に確保し、必要な対象者などへの適切な訪問、指導・援助に努めること。
○無料低額診療制度を市内の医療機関に紹介すること。

後期高齢者医療制度について
○減免制度の拡充を広域連合に働きかけること。
○短期証を安易に発行しないこと。

介護保険制度の改善について
○保険料の市独自減免対象の要件を枚方市や大阪市なみに拡大すること。
○地域密着型多機能施設など介護施設の増設をさらにすすめること。
○ホームヘルパー派遣は、家事支援など利用者の状況に応じて、府の「訪問介護Q&A集」を参考に、柔軟に対応すること。
○地域包括支援センターの体制を拡充し、時間外の虐待の通報にも十分対応できるように委託料も事業にみあった額にすること。

高齢者福祉について
○単身高齢者住宅家賃補助制度の所得基準を緩和し、高齢世帯にも拡大すること。
○街かどデイハウスへの補助額を増やし、介護予防での地域支援事業の補助単価を引き上げること。
○自立と認定された高齢者への地域支援事業は、住民税非課税の場合は無料にすること。また、軽度生活援助員の利用料は、値上げせず据え置くこと。
○緊急通報システム(緊急ペンダント)の対象を拡げ、長時間家族が不在になる昼間独居なども加え、非課税世帯は無料にすること。
○市バス無料敬老パス継続のために、市バスへの補助を計画的に増やすこと。
○高齢者住宅改造補助を復活すること。

国民健康保険について
○国保料の値上げは行わないこと。
○短期保険証・資格証明書の発行をやめること。せめて福祉医療制度の対象者への発行はやめること。
○年金受給者で医療費支払など出費が増えた場合は、保険料の減免対象とすること。保険料独自減免は、所得割保険料のみを対象とせず、保険料全体を対象にすること。収入減少が30%未満であっても生活保護基準等との比較から支払い困難なときは対象にすること。
○出産育児一時金で出産費用が賄えるように、さらに増額すること。

障害者福祉について
○高槻市が実施するグループホーム、ケアホームへの運営助成を、利用者の自己負担軽減のためにも引き上げること。
○ガイドヘルパーの利用時間制限の目安(36時間)で制限せず、必要に応じて利用できるようにすること。
児童へのガイドヘルパー派遣時間の上限を引き上げること。
○紙おむつ、ストマ(蓄便袋)を負担上限額内に含め、負担軽減を図ること。
○相談支援事業の体制強化のため、助成金を増額すること。
○槻ノ木荘利用者のガイドヘルパー利用を認めること。
○通所施設利用者の送迎補助や家族の同伴送迎への交通費補助など、通所に必要な助成策を実施すること。
○障害者世帯の住宅家賃補助制度を創設すること。

保育行政と子育て支援について
○保育所入所希望者の全員入所に向け、さらに努力すること。
○保育所保育料は住民税非課税以下を無料にすること。
○公立・民間保育所の入所定員の弾力化を最小限にとどめること。
○保育士の障害児加配などは現場の状況に応じて配置すること。
○自宅で仕事をしている場合の入所判定基準の点数について、自宅外の仕事と同じ扱いにすること。
○病気あけ保育や病児保育の箇所数を増やすこと。
○一時保育を実施する保育所を増やし、短時間労働者などへの子育てサービスを拡充すること。
○認可(民間)保育所への監査指導責任を保育課でも果たすこと。
○認可外保育所に国の基準を守るよう指導を強めること。
○民間保育所の保育料以外の保護者負担はできるだけなくし、少なくとも基準を設けること。
○3人乗り自転車購入費用への補助をすること。

学童保育充実のために
○学童保育室への希望者全員入所のために、引き続き複数クラスにし、1クラスの定数を40人とすること。
○保育時間を午後7時まで延長すること。
○指導員は非常勤やアルバイトのみでなく、正規職員を配置し、人数も増員すること。指導員の待遇を責任に見合うものに改善すること。また、障害児加配の指導員配置基準を緩和し増員すること。

保護者負担軽減のために
○就学援助制度の持ち家・借家の所得区分をやめ、所得基準を見直し、補助内容を向上させること。
○給付制の市奨学金制度も検討すること。
○幼稚園就学奨励費の増額や保育料減免基準額を引き上げること。

くらしと生活保護行政について
○国、府の生活福祉資金(小口生活資金貸付制度)10万円に加え、市が独自に増額すること。
○境界層措置該当者の手続きを簡単にし、資産調査などはなくすこと。
○生活保護の医療券方式を改め、受診の手続きを簡素化すること。
○担当ケースが80世帯以下になるよう、ケースワーカーを増員すること。
○ケースワーカーを指導・監督するスーパーバイザーの育成を強化すること。

消費者保護について
○消費生活センターの相談職員を増員し、休日・夜間の受付など相談体制を充実すること。
○強引な訪問販売、悪質詐欺などへの注意を呼びかける全戸へのチラシ配布など、被害防止活動を強化すること。
○ヤミ金や多重債務者への相談体制を強化し、債務整理や生活再建への貸付金 制度を創設すること。


 2.これ以上の自然破壊をやめ、自然やみどり、環境を守るために

○新名神自動車道、インターチェンジ・ジャンクションを中心としたまちづくりや関連道路沿線の開発はやめること。
○新名神自動車道の、高槻ー八幡間の推進を、国に要望しないこと。
○(仮称)高槻東道路、南平台―日吉台線の整備は、沿線住民の要望に最大限 努力すること。環境調査は、調査日数を増やすこと。環境基準が守られていない騒音については、早急に対策をとること。
○新幹線騒音・振動公害については、環境基準の1日も早い達成をJRに働きかけ、市としても環境省へ改善要請を行うこと。また、在来線の環境基準(騒音・振動)を定めるよう国に要請すること。
○産業廃棄物中間処理業者や、自社物の産業廃棄物を保管している業者への指導を徹底すること。また、労働者の健康状況についても把握すること。
○企業が生産から廃棄まで一貫して責任を負い、処理困難な製品や品質の廃棄物を出さない「拡大生産者責任」の具体化を国に求め、市としても努力すること。


3.住民の安全や健康を守り、安心して住み続けられる高槻を

災害に強いまちづくりや生命や財産を守るために
○芥川、桧尾川、如是川などの改修を図ること。とりわけJR橋梁(芥川)と堤防の改修を急ぐよう、府やJRに働きかけること。
○消防職員を増員し、国の配置基準への適合を図るとともに、年次有給休暇等の諸権利行使が円滑に進むように努力すること。
○下流水路の流下能力について水路管理者と協議、調整し、JR高槻駅西口・摂津富田西口ガード下のポンプ機能の強化を図ること。
○土石流、地すべり、急傾斜地崩壊など危険箇所の対策工事を急ぐよう、府に求めること。

快適なまちづくりのために
○道路、歩道の計画的な整備促進。歩道のない通学路、住宅街で車がスピードを出せないように工夫すること。
○歩道の段差解消の努力など、事故が起こらないように対策や管理を強化すること。
住民が主人公のまちづくりのために
○マンション建設などの開発行為に対して、市が業者と住民間のトラブルの調停に入ることを条例で規定すること。
○コミュニティーセンターのスタッフ給与、備品の維持補修や購入への支援策を拡充するとともに、耐震化やバリアフリー化に向けた計画、指針を策定すること。

水道事業について
○下水道使用料も水道料金と同様に引き下げること。
○専用水道や地下水を汲み上げている事業所に、保全協力金を求めること。
○必要のない安威川ダム建設に、これ以上の負担金は出さないこと。
○マンションなど共同受水槽施設についても一戸建てと同様に戸別検針・戸別徴収とすること。また、戸別メーターは無料で取り替えること。
○地震に強い水道施設づくりをすすめるために、一般会計からの補助を拡充すること。

市バス事業について
○「市バスのあるまち、高槻」をつらぬくこと。
○市バス路線のない淀の原、東上牧方面へのバス路線延伸など、利便性の向上をはかること。
○市バス停留所に屋根やテントを順次設置し、夜間でも時刻表を確認できるようにすること。


4.管理教育をやめ、どの子も健やかに成長できる教育や生涯学習の充実を

安全な学校・園施設のために
○通学路の安全確保のために、街路灯の増設などをすすめること。
○特別教室や体育館などにも緊急通報の体制を確立すること。
○校門前の警備員は、全額市が負担してでも配置を続けること。

ゆきとどいた教育のために
○全国学力テストは、抽出実施となっても参加しないこと。
○習熟度別授業はやめること。
○「日の丸」「君が代」の押しつけをやめること。
○中学校で加配教員を増やすこと。
○支援学級のサポート教室(富田小学校)は、全市域の送迎を保障し、職員体制、とりわけ医師の派遣回数など、療育面の充実をはかること。また、校区の支援学級の設備改善や職員配置を増やすこと。
○教育センターで行っている適応指導教室の常勤研究員・指導員・訪問指導員の体制を抜本的に拡充すること。
○ADHA(高機能自閉児)、LD児(学習障害児)への個別支援の対応を充実し、保護者などが相談できる体制を確立すること。
○「人権教育基本方針・人権教育推進プラン」に基づく、同和教育の推進をやめること。
○学校図書館の蔵書予算を増やし、文部科学省の学校図書標準を計画的に達成すること。

安全でおいしい学校給食のために
○米飯給食を週3回(現在週2.5回、年間93回うち77回地元米使用)に増やし、高槻産 米使用の回数、米粉パンの使用回数(年4回)を増やすこと。
○学校給食の栄養士を1人3校担当から2校担当に増やすこと。
○輸入食材をできるだけ使用しないこと。
○中学校はスクールランチではなく、親子方式での給食を実施すること。

図書館行政について
○図書館への指定管理者制度の導入は絶対に行わないこと。
○吹田市や豊中市と比べて少ない正規職員の司書を増やすこと。また、分館にも司書職員配置を適正に行うこと。
○上牧駅前や南東部地域に図書館建設を推進すること。北部図書館の建設・サービス内容について、市民や図書館協議会などの意見を十分聞くこと。
○図書購入費や資料購入費のための予算増額を図ること。視聴覚資料(CD、DVD等)や団体貸出し資料の充実を図ること。
○対面朗読や読み聞かせのボランティアへの交通費やコピー代を支給するこ と。

幼稚園教育の充実のために
○公立幼稚園の4歳保育は、希望児全員が入園できるよう定員増など改善すること。
○全園への養護教諭配置を計画的に進めること。就労支援型保育で給食を実施すること。
○私立幼稚園保護者へ公私間格差是正のための補助を拡充すること。とりわけ 4、5歳児への就園奨励費補助を引き上げること。


 5.農林業や商工業の振興で活気ある高槻を

都市近郊農業と森林保全のために
○生産緑地の指定は、国に条件緩和を求めること。
○市街化調整区域での農業を守るとり組みを強化すること。農業が続けられる ように作業道整備への助成制度を創設すること。
○30年間農業することを義務づけられている生産緑地周辺での開発は、営農 条件を配慮した指導を行うこと。
○市街化調整区域や農業振興地域の農地を保全するよう努力すること。
○地産地消をさらにすすめ、特産品の育成、産直運動・朝市への援助を拡大す ること。
○府森林組合がとりくむ大阪材の利用促進への補助制度を創設すること。
○山林保全のため、間伐への助成、立枯れ、後継者育成などを強めること。
○有害動物の被害防止柵の設置を計画的に進め、維持補修費用の助成をすること。

商工業の振興のために
○「商業活性化条例」を生かし、助成を拡充すること。市場・商店街などの販 売促進、集客への取り組みも補助制度の対象にすること。
○地元企業・業者からの物品購入等で地元発注率を高めること。
○公共事業は元請け責任を明確にし、下請け、孫請け等への代金未払いがない よう指導すること。「公契約条例」制定に向け検討すること。
○市民生活の悪化への支援として、200平米以下の居住用・小規模事業資産 の都市計画税の減税を行うこと。
○指名業者でない小規模業者へ少額の工事発注をするために、「小規模修繕契 約希望者登録制度」を発足させること。
○市内事業所を集めての就職説明会を開催すること。


 6.「人権」に名をかりた同和事業・同和教育の終了を

○部落解放同盟の特別扱いの交渉をやめること。
○不正入居の是正など、富寿栄住宅の適切な管理に、さらに努めること。
○「人権」に名を借りた「同和研修」「同和啓発」などは行わないこと。
○人権まちづくり協会の富田・春日分局はなくし、府人権協会への分担金はや めること。
○「高槻市人権教育研究協議会」「富田・赤大路地域人権教育推進会議」「城 南中学校区人権教育推進協議会」への補助をやめること。
○植木団地の不適切な利用を早急に改善すること。また、事実上の植木ゴミ処 分料の値引きを止めること。


 7.住民犠牲の「行革」路線をやめ、
   住民本位の財政運営で、公正、清潔・市民参加の高槻へ

住民本位の財政運営を
○安易な外部委託化をやめ、必要な職員体制の確保を図ること。
○基金全体を見直し、何年も使ってこなかったものや具体的な使い道のない基金については、市民サービスの向上のために利用すること。

平和で民主的、清潔、透明な市政運営のために
○「非核・平和都市宣言」「人権擁護都市宣言」の街にふさわしく、非核・平和・民主主義・憲法擁護の施策の具体化と実施を図ること。タチソなどの保存をはじめ、戦争被害の実態の保存に努めること。
○職員研修は全体の奉仕者としての使命感を向上する内容にすること。
○民間企業でもすでに破綻している「成果主義賃金」につながる「査定」賃金制度を導入しないこと。
                                 以上